第11章 やはりあのクズの子供だ、懐かない

長谷川栞が「それで?」と一言返しただけで、電話の向こうの中野航平は、三十秒も黙り込んだ。

彼女が切ろうとした瞬間、航平が疲れた声で言う。

「……そこまで冷たくしなきゃいけないのか?」

間髪入れず、責めるような口調が重なる。

「長谷川栞、今は意地張って拗ねてる場合じゃない。蓮はまだ病院だぞ。母親なら、顔出すのが普通だろ」

「早く戻ってこい。あいつに腹立てててもさ、怪我して入院してるんだ。母親が子ども相手に張り合ってどうすんだよ」

怨み言が、やけに重い。

航平には理解できないのだろう。

中野蓮が生意気にも「ママ嫌い」「中尾美希のほうが好き」なんて数句言っただけで、長谷川栞が本気で...

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